<下書き>第28回:【自動盤で使われるバイト】バイトの材質とその特徴

はじめに

 前回はチップ交換式バイトと研削バイトの違いについてお話しました。
 今回はバイトを構成する「材質」に注目し、それぞれの特徴と用途をわかりやすく紹介します。

1.高速工具鋼(HSS)

 高速工具鋼は昔から広く使われている切削工具用材質で、特に研削バイトに多く用いられます。
 HSS(High-Speed Steelの略、通称「ハイス」)は、耐熱性と靭性(じんせい:粘り強さ)のバランスが良く、高速切削に適しています。
 ただし、硬度は後述する材質に比べやや低いため、摩耗しやすい点には注意が必要です。

2.超硬合金

 超硬合金は、主にチップ交換式バイトの刃先に使用される材質です。
 高速工具鋼よりも硬く、耐摩耗性と耐熱性に優れているため、長時間の切削加工でも安定した性能を発揮します。
 一方で衝撃には弱く、割れや欠けが発生することがあるため、使用条件や加工方法には注意が必要です。

3.セラミックス、CBN(立方晶窒化ホウ素:りっぽうしょうちっかホウそ)

 セラミックスやCBNは、超硬合金をさらに上回る硬度と耐熱性を持ちます
 高硬度材の加工や高速加工に向いており、精度や加工効率を重視する特殊用途で多く使われます。
 しかし硬度が高い分、衝撃に弱く割れやすいため、用途は限定的です。

4.材質選びのポイント

 バイトには他にもサーメットやダイヤモンド、超硬合金にコーティングを施したものなど、多様な材質があります。
 硬度が高い材質は摩耗しにくく寿命が長い一方で、衝撃には弱く割れや欠けが起こりやすいという特性があります。
 そのため、加工する材料や加工内容に応じて、耐摩耗性と衝撃耐性のバランスを考慮し、さらにコスト面も踏まえて材質を選ぶことが重要です。

次回もお楽しみに!

 今回はバイトの主な材質と特徴についてご紹介しました。
 次回は「バイトの研磨とメンテナンス」について解説します。お楽しみに!

ページトップボタン