
はじめに
こんにちは!GMテクノロジー・ラボです。
前回は材料の回転角度をコントロールする「C軸制御(シーじくせいぎょ)」についてお話ししました。
しかし、まだ苦手なことがあります。 それは、「中心からズレた位置(偏心:へんしん)」の加工です。
今回はこの課題を解決し、自由自在な形状を作り出すための機能「Y軸制御(ワイじくせいぎょ)」について解説します。
旋盤の「常識」であるZ軸とX軸
まず、普通の旋盤の動きをおさらいしましょう。 これまでの連載(第6回など)で触れた通り、旋盤には基本的に2つの動く方向(軸)があります。
1. Z軸(ゼットじく):材料の前後、奥行きの動き(長さを決める)
2. X軸(エックスじく):刃物の上下、押し付けの動き(太さや穴あけの深さを決める)
この2つがあれば刃物を材料の「中心」に向かって動かせるので、丸く削ったり、真ん中に穴を開けたりすることはできます。

中心以外を加工したい時は?
でも、もし図面に「中心から3ミリ横に穴を開ける」と書いてあったらどうでしょう?
普通の旋盤(ZとXのみ)では、刃物の刃先は常に「材料のど真ん中」に向かって固定されています。 材料の回転(C軸)をいくら制御しても、刃先は中心に向いているため、中心からずれた位置に穴を開けることはできません。
そこで必要になるのが刃物の位置を左右に動かす「Y軸(ワイじく)」なのです。

Y軸ができること
Y軸制御がついた複合自動盤は刃物(バイトや回転工具)を左右に動かすことができます。 これにより次のような加工が可能になります。
1. 偏心穴(へんしんあな)あけ
中心ではなく、ズレた位置に穴を開けることができます。
2. 平らな面を作る(Dカット) 丸い棒の一部をスパッと切り落として、材料の端まで平らな面を作ることができます。

3次元的な加工の完成
・X軸:刃物を上下に移動(材料に近づけたり、材料から離したり)
・Y軸:刃物を左右に移動(材料の中心からずらす)
・Z軸:材料を前後に移動(材料を押し出したり、引っ込めたり)
・C軸:材料の回転角度を制御(好きな角度で止めたり、ゆっくり回したり)
・回転工具:刃物を回す(ドリルやエンドミルで加工が出来る)
これらの制御が出来る事で、複合自動盤はほぼどんな形でも削り出せる「万能マシン」になりました。 グリーンメタルで動いている機械たちは、これらの軸を高速で複雑に動かしながら、皆さんの身の回りにある精密部品を作っています。

次回予告
これで表側の加工は完璧です。でも、加工が終わった部品を切り離したとき、「切り口(裏側)」はどうなっているでしょうか? 普通ならバリ(ささくれ)が出ていて、そのままでは使えません。
次回はそんな裏側の加工「背面加工(はいめんかこう)」と、さらに生産スピードを上げる「同時加工」について解説します。 「量産効率」の秘密がいよいよ完結します。お楽しみに!

