
はじめに
みなさん、こんにちは! 前回は主軸移動型自動盤について詳しく解説しました。今回はもう一つの方式である「主軸固定型自動盤」について仕組みや特徴を詳しく見ていきましょう。
主軸固定型自動盤とは
主軸固定型自動盤はその名の通り主軸が固定されており、材料を回転させながら刃物が移動して加工を行う機械です。一般的な手動旋盤もこの方式を採用しており、旋盤の基本的な形といえます。
加工の仕組み
●材料は主軸に固定され、回転しながら加工される。
●刃物(バイト)は前後左右に動いて切削を行う。
●ガイドブッシュは使用せず、材料は主軸から直接突出する。


主軸固定型の特徴
主軸固定型には以下のような特徴があります。
短い部品の加工に向いている
材料は主軸のチャックで直接固定され、ガイドブッシュがないため、長い部品を加工する際には材料がたわみやすくなります。そのため主軸固定型自動盤は比較的短い部品の加工に適しています。
高い精度が求められる加工に適している
ガイドブッシュを使用しないため材料の外径精度にばらつきがあっても加工精度に影響を受けにくいという利点があります。なぜなら主軸から突出した材料をバイトが直接切削するため、主軸移動型のガイドブッシュのように材料の外径とガイドブッシュの穴のクリアランスによる誤差が生じることがありません。そのため、材料外径の精度ばらつきや完全な円形でない場合(楕円形など)でも加工精度への影響を吸収し、より高精度な加工が可能となります。
材料ロスが少ない
ガイドブッシュを使用しないため、材料の端部を長く残す必要がありません。主軸移動型の場合、ガイドブッシュに材料を通すため、材料の先端や後端に一定の長さを確保する必要がありますが、主軸固定型ではその必要がなく、材料のロスが少なくなります。

主軸移動型との違いまとめ
区分け | 主軸移動型 | 主軸固定型 |
---|---|---|
主軸 | 前後移動する | 前後移動しない |
刃物台(バイト) | 前後移動しない | 前後移動する |
ガイドブッシュ | あり | なし |
適した部品 | 短い部品から長い部品まで | 短い部品、より高精度な部品 |
材料のたわみ | 抑えられる | 長いと発生しやすい |
材料の精度ばらつき | 影響を受けやすい | 吸収される |
材料のロス | 材料ロスが比較的多い | 材料ロスが少ない |
次回予告
次回は、自動盤の制御方式について解説します!「カム式自動盤とCNC自動盤」をわかりやすく説明するので、お楽しみに!