
はじめに
こんにちは!GMテクノロジー・ラボです。
前回は自動盤が24時間休まずに稼働できる秘密として、「長い材料(バー材)」と「自動供給機(バーフィーダー)」について解説しました。これで「量産」の仕組みはバッチリですね。
今回からはもう一つのテーマである「複雑な加工」に迫ります。「旋盤なのに、横穴が開けられる」「旋盤なのに、四角い形が作れる」これを実現する秘密兵器、「回転工具(かいてんこうぐ)」の登場です。
これまでの「常識」をおさらい
これまでの連載(第6回や第24回)で学んだ通り、旋盤加工の基本ルールはこうでした。
1. 材料:長い材料が回転する。
2. 刃物(バイト):回転している材料に押し当てられる。
しかし、このルールには弱点があります。 「回転している材料の横っ腹に、ドリルで穴を開けること」ができないのです。

掟(おきて)破りの「回転工具」
そこで開発されたのが、回転工具(かいてんこうぐ)です。
これは「刃物自体がモーターで回転する」ユニットのことです。 普通の旋盤には「固定されたバイト」しか付いていませんが、複合自動旋盤には電気ドリルのような回転機能を持った小さなユニットが搭載されています。

何ができるようになる?
「材料も回る」し「刃物も回る」。 この「回転工具」を使うときは材料の回転をピタリと止めて(あるいはゆっくり回して)、回転する刃物を当てに行きます。
これにより、以下のようなフライス加工(ミーリング)が可能になります。
1. クロス加工(横穴あけ) 材料の側面にドリルで正確な穴を開けることができます。
2. 平面削り(Dカット) エンドミルという工具を回転させ、丸い棒の一部を平らに削ったり、溝を彫ったりできます。

大工さんで例えると?
イメージしやすいように木工(もっこう)で例えてみましょう。
• 普通の旋盤 回転する木材に、「ノミ(彫刻刀)」を押し当てて形を作ります。ノミ自体は動きません。
• 回転工具付き(複合自動盤) 回転する木材の横から「電動ドリル」を持って近づくようなものです。 「ギュイーン!」と回るドリルを使えば木材の側面に簡単に穴を開けたり、文字を彫ったりできますよね?

グリーンメタルの工場にある自動盤の多くは、この「回転工具」を装備しています。 ただ丸いだけの部品ではなく、横に穴やネジ穴が開いていたり平面があったりする精密部品は、この回転工具を使って作られています。 わざわざ別の加工機械に持っていかなくても、1台の機械で加工できるから「早く」、「品質も安定」するのです。
次回もお楽しみに!
「刃物が回るのは分かった。でも、なぜ狙った場所を正確に加工出来るの?」 「丸い材料の『真上』や『真横』をどうやって位置だしするの?」
鋭い方はそう思ったかもしれません。 材料の「ここ!」という場所を正確に加工する方法は?
次回はその制御技術である「C軸制御(シーじくせいぎょ)」について解説します。 お楽しみに!

