
はじめに
こんにちは!GMテクノロジー・ラボです。
これまでの連載で、回転工具(第32回)、C軸(第33回)、Y軸(第34回)と、複雑な形を作り出すための機能を紹介してきました。 これでどんなに難しい形状でも表側(メイン側)の加工は完璧です。
しかし、最後に一つ問題が残ります。 材料から製品を切り離したその面はどうするのでしょうか? また、複雑な加工をすればするほど時間がかかってしまい、大量生産に遅れが出るのでは?
今回はこれらの課題を一気に解決する「背面加工(はいめんかこう)」と「同時加工(どうじかこう)」について解説します。
華麗なるバトンパス「背面加工」
通常、旋盤で部品を切り離すとその切断面には「ヘソ」や「ボッチ」、「切り残し」と呼ばれる突起が残ります。 昔なら二次加工など、別の設備で背面を仕上げる必要がありました。
しかし、複合自動盤にはメイン主軸の向かい側に「サブ主軸(背面主軸)」が待機しています。 その動きはまるで陸上競技のリレーのようです。
1. お迎え(シンクロ) 表側の加工が終わる前に、サブ主軸がスッと近づき、メイン主軸と同じ回転数で同期して部品をつかみます。

2. 受け渡し(カットオフ) メイン主軸とサブ主軸が両側からつかんだ状態で、同じ回転数で回転しながら部品を切り離します。
(通常の旋盤だと切り離すときに加工した製品がボトッと落ち、この時に「ボッチ」が残ってしまいます。)

3. 裏側の仕上げ サブ主軸は部品を持ったまま後ろに下がり、裏面の切削や穴あけを行います。
この一連の流れを全自動で行うため、人の手が介在する事がありません。

時間を「重ねる」魔法
ここからが自動盤の真骨頂です。 「裏側を加工している間、表側のメイン主軸は何をしているの?」
答えは、「次の部品を作り始めている」のです!
• メイン主軸:2個目の部品の「表」を削る
• サブ主軸:1個目の部品の「裏」を削る
この2つの作業が完全に同時進行します。 これを料理で例えるなら、「パスタを茹でている間に、隣のコンロでソースを作っている」ような状態です。 片方が終わるのを待つ必要がないため、「待ち時間なし」で次々と部品が完成していきます。

このように複数の工程を「重ね合わせ」て時間を短縮します。1個作るのに本来1分かかる部品を、30秒で完成させる。この積み重ねが月産何万個というオーダーに応えるための「究極のタイムパフォーマンス(タイパ)」を生み出しているのです。

次回もお楽しみに!
さて、ここまで「複雑な加工」と「圧倒的なスピード」の秘密を見てきました。 次はいよいよ本シリーズの最終回です。
「なぜ、これらを1台のマシンでやる必要があるの?」 「分けて加工した方が簡単じゃない?」
そんな疑問に答える「ワンチャッキング」という最大のメリットについて解説します。 品質と精度の答えがそこにあります。お楽しみに!

